羽生ー谷川の王将戦が終了した!
羽生が4連勝で、王将位初防衛を果たした。
王将戦7番勝負
| 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 |
羽生善治王将 | ○ | ○ | ○ | ○ | | | |
谷川浩司竜王 | ● | ● | ● | ● | | | |
-
王将戦7番勝負第1局
急戦から一転、持久戦へ!
巧妙な反撃を見せ、羽生先勝!
- 王将戦第1局 1月9〜10日
- 神奈川県秦野市鶴巻温泉「陣屋」にて
先手:谷川浩司竜王 対 後手:羽生善治王将
戦型:相掛かり(飛車先不交換3八銀型)
結果:136手で羽生完勝!
残り時間:谷川 3分
羽生 10分
- 第1局1日目 1月9日
- 「違った将棋を指してみようと思って・・・」
谷川のとった作戦は、相掛かりから飛車先を交換せずに
すぐに3八銀と立つ最新の戦法だった。
研究会などではひそかなブームになっているとか・・・。
両者とも指し慣れない戦型(谷川は経験あり、羽生ははじめて)だけに、
序盤から時間をつかっての慎重な駒組みが続く。
羽生が早めに右銀を繰り出し、
急戦指向となった。
35手目を谷川が封じた。
- 第1局2日目 1月10日
- 封じ手は▲4五銀、
谷川は9七角から仕掛ける準備を進める。
しかし、角道を止める羽生の▽6四歩が好手で
谷川の攻めを緩和する。
この一手を境に、急戦が持久戦へと移り変わる。
銀冠に構え、仕掛けのときを探り合う。
74手目、羽生が6五歩から討って出た。
谷川は5五に金を繰り出し、激しい攻め合いへ・・・。
羽生の反撃が巧妙だった。
自陣の傷を消しながら、攻めをつないで行く。
局面は羽生優勢に!
谷川は銀交換から羽生の攻め駒へ逆襲をかけるも、
羽生は構わず攻めを続ける。
難解な終盤戦であったが、羽生陣が手つかずの堅さを
保っているのに対し、谷川の玉型は薄く、
王手飛車のラインを消すことができない。
龍が殺された時点で、谷川が投了した。
王将戦7番勝負第2局
穴熊は遠し!
羽生、磐石の態勢から寄せきる!
- 王将戦第2局 1月20〜21日
- 静岡県河津町「今井荘」にて
先手:羽生善治王将 対 後手:谷川浩司竜王
戦型:後手四間飛車対居飛穴
結果:121手で羽生完勝!
残り時間:羽生 8分
谷川 20分
- 第1局1日目 1月20日
- 後手番の谷川はこのところ高い勝率を誇っている四間飛車を採用した。
途中までは、第9期竜王戦第5局とそっくり同じ進行に・・・。
そのときは羽生が四間飛車に構えたところを、谷川が超急戦を仕掛け快勝している。
本局は谷川・羽生の戦型が入れ替わっている。
羽生の作戦は居飛穴だった。
谷川が端を詰め、穴熊崩しの動きを見せると、
羽生は6七金・7八金を早めに決めて、穴熊の完成を目指し慎重に駒組みをすすめる。
早い仕掛けのなくなった谷川は、銀冠に構えた。
- 第2局2日目 1月21日
- 封じ手は▲3八飛、谷川に3筋歩交換を避ける4四角を強要すると、
羽生は桂をはね、4筋から攻撃を開始した。
いつのまにか飛角銀桂が参加する理想的な攻撃態勢を築いている。
谷川は同じような将棋を対村山戦で経験したばかり、
羽生も十分研究を重ねた順であったと思われる。
飛先を切り、羽生は不満のない戦果を上げる。
その後も谷川の飛車先に銀を繰り出し、押さえ込みに完全に成功する。
苦境に立たされた谷川は、勝負手から飛角を羽生陣に成り込ませるが、
穴熊城は遥か遠く、どうあがいても届かない。
その隙に羽生は巧妙な寄せ手順を見せた。
自陣に手を戻す余裕も見せ、がっちりとした横綱相撲を目指す。
危なげなく寄せ切り、羽生二連勝!
王将戦7番勝負第3局
端は玉で受けよ!
攻防の名角で大勢決す!
- 王将戦第3局 1月30〜31日
- 滋賀県彦根市「彦根プリンスホテル」にて
先手:谷川浩司竜王 対 後手:羽生善治王将
戦型:先手右四間飛車腰掛銀
結果:108手で羽生快勝!
残り時間:谷川 7分
羽生 9分
- 第1局1日目 1月30日
- 谷川が角換りに誘うと、羽生は早々に角道を止め、これを拒否した。
勝つことにこだわる羽生の姿勢が、本局にもにじみ出ている。
谷川は右四間飛車から腰掛銀に構え、攻撃態勢を着々と整える。
羽生は変形矢倉から4筋を厚く構え、守勢に撤する。
4筋の歩をきったものの、このまま一気に攻め込むのか
それとも自重するのか、中盤の難所を迎えた。
71分の長考で谷川が35手目を封じた。
- 第3局2日目 1月31日
- 前進流谷川の選択は、攻めの継続をはかる▲3七桂だった。
▲1五歩から谷川の攻撃がはじまった。
桂香が交換され、谷川の飛車は薄くなった1筋へと転回する。
その間、羽生は7筋、8筋に大きな拠点をつくり、
駒が補充できれば一気に押し潰すぞと迫力十分のおどしをかける。
一段落つき、端をどう受けるのか注目されていたところ、
谷川の飛車をわざと呼び込んでから▽2二玉の強手が指された。
玉で端を受けるという常識破りの強防手に、谷川は困った。
やむなく谷川は▲1三歩から端を詰め、羽生の右翼の桂を手駒に加える。
谷川が▲4四桂から羽生の守りのかなめである金を狙った時点では、
まだまだ難解と思われていた終盤戦であったが、
その直後に他のプロ棋士が感嘆する▽4六角の好手が指された。
この角の飛び出しにより、谷川の攻め足が止められ、
羽生優勢へと大勢は一挙に傾いた。
谷川は羽生の飛車に狙いをつけ、最後の勝負手に出たが、
ここからの羽生の指し回しが見事だった。
谷川の攻守のかなめとなる角を、▽6三桂から捕獲してしまう。
万策尽きた谷川は形だけつくり、駒を投じた。
これで羽生は3連勝。谷川は早くも崖っぷちに立たされた。
王将戦7番勝負第4局
名人に定跡なし!
俗手が好手に! 谷川攻め潰される
- 王将戦第4局 2月13〜14日
- 山口県大島郡「大観荘」にて
先手:羽生善治王将 対 後手:谷川浩司竜王
戦型:相掛かり(ひねり飛車模様)
結果:103手で羽生快勝!
残り時間:羽生 23分
谷川 24分
- 第1局1日目 2月13日
- 羽生がひねり飛車に誘導しようとしたところ、
谷川はこれを拒否。
あえて▲3四飛を呼び込み、
▽4四角から手将棋となった。
両者ともに慎重に時間を使い、
駒組みに余念がない。
一歩損の代償を谷川が▽7四歩からの
押さえ込みに求めたところ、
35手目を羽生が封じた。
- 第4局2日目 2月14日
- 封じ手は大方の予想を裏切る▲7五歩。
羽生の果敢な攻めがはじまった。
▲8六飛から切れるか切れないかの薄氷の攻めが続く。
羽生は▲6五桂と谷川の歩頭に飛び出し、
桂を犠牲に一転して、1五歩からの端攻めに出た。
結局は戦果を上げたばかりの桂を受けに使わされ、
谷川としては苦しい局面に・・・。
羽生は飛車を自在に動かし、谷川陣を揺さぶる。
馬をつくり自陣に引きつけ、羽生十分!
谷川は終始辛抱を重ね、反撃に望みを託す。
羽生の攻めも一段落つくかと思われたとき、
予想外の強襲を羽生は見せた。
よく利いている馬をきり、谷川の遊んでいる銀と交換。
直後の▲7四銀は、まさに俗手。
谷川の駒をわざわざさばかせている。
一見すると悪手に映るプロの常識にない一手が、
谷川陣を崩壊へと導くことになる。
谷川玉から遠く離れたと金が大活躍。
谷川陣はあっと言う間に寄せられた。
谷川の辛抱は実らなかった。
羽生怒涛の4連勝で、王将戦が終了した。
本戦リーグ戦
順位 | 棋士名 | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 勝敗 |
1 | 谷川浩司竜王 | ○ 森内 | ● 中原 | ○ 丸山 | ○ 藤井 | ● 村山 | ○ 高橋 | / | 4-2 |
2 | 中原誠永世十段 | / | ○ 谷川 | ● 藤井 | ● 森内 | ○ 高橋 | ○ 村山 | ● 丸山 | 3-3 |
3 | 村山 聖八段 | ○ 丸山 | ○ 藤井 | ○ 森内 | / | ○ 谷川 | ● 中原 | ● 高橋 | 4-2 |
陥 | 森内俊之八段 | ● 谷川 | ● 高橋 | ● 村山 | ○ 中原 | ● 丸山 | / | ○ 藤井 | 2-4 |
陥 | 高橋道雄九段 | ● 藤井 | ○ 森内 | / | ● 丸山 | ● 中原 | ● 谷川 | ○ 村山 | 2-4 |
陥 | 藤井 猛六段 | ○ 高橋 | ● 村山 | ○ 中原 | ● 谷川 | / | ● 丸山 | ● 森内 | 2-4 |
5 | 丸山忠久六段 | ● 村山 | / | ● 谷川 | ○ 高橋 | ○ 森内 | ○ 藤井 | ○ 中原 | 4-2 |
プレーオフ
村山 聖八段 ● 対 ○ 谷川浩司竜王
矢倉を目指した村山に対し、谷川の作戦は原始棒銀!
最後は鮮やかな光速の寄せが炸裂した。
コメントニュース
- 高橋 ー村山、村山敗れプレーオフに!(12月18日)
- この一番に勝てば挑戦権が決まる村山は、すでに陥落の決定している高橋と対戦。高橋の横歩取り空中戦となり、中盤では高橋の右銀が中央に進出し、村山の飛車をいじめにかかる。あくまで高橋の玉頭を狙おうと5三へ飛車を引いた手が疑問手となり、村山は以下じりじり抑え込まれる。間合いをはかり、力を十分にためた高橋の攻めが決まり、村山の王将挑戦は持ち越しとなった。
ついに村山2連敗で、羽生王将への挑戦権をかけ、谷川とのプレーオフが行われることとなった。こうなると、谷川に利があるか!?
- 中原 ー丸山、残留を決めた丸山の快勝譜!(12月18日)
- 丸山は残留をかけ、中原は村山が敗れた場合のプレーオフ進出をかけ、ともに負けられない一局となった。相掛かりから飛車が縦横無尽に暴れる空中戦となるも、中原が丸山の好所の角打を見落とし、劣勢に! 乱戦に持ち込もうとする中原の動きに対し、丸山は冷静に局面を収め、勝利を不動のものとした。丸山の残留が決まり、この瞬間藤井の陥落が決定。中原の王将位挑戦権も消えた。
- 村山 ー中原、陽動振飛車で中原受け勝つ!(12月6日)
- 村山が敗れた。中原の陽動振飛車に村山は居飛穴で対抗。開戦に踏み切ったが、中原自然流は容易に腰を割らない。穴熊とはいえ駒損が響き、村山の攻めが続かない。中原がゆっくり勝ちを収め、村山は優勝を決めることができなかった。
残る対高橋戦で村山が勝てば優勝が決まるが、これを落とすと大変なことになる。王将戦規定ではプレーオフは上位二人までとなるため、中原が対丸山戦に勝つと、4勝2敗で3人が並び、村山は頭ハネでプレーオフにも出られなくなる。
- 谷川ー高橋、劣勢にあわてず、腰を据えて逆転!(12月2日)
- 谷川は本局が最終局。村山とのプレーオフに望みを託すためには、絶対負けられない一局となった。谷川は大事な一局に、はじめて試したという相掛かりから飛車を2八へ引く戦型を選ぶ。慣れない戦型がたたり、中盤では高橋優勢。ここからが渋かった。金を引き戻し、背をかがめて劣勢を耐え忍ぶ。気づいたときには、いつのまにか攻守が逆転していた。光速の寄せが一気に終息へと走り、4勝2敗でリーグ戦を終了した。あとは村山が2番落とせば、プレーオフとなる。
- 村山ー谷川、逆転、逆転、また逆転! 死闘は村山が制す!(11月22日)
- 事実上の優勝決定戦となる大一番は、角換りからもつれにもつれ、両者一分将棋のまま終盤に突入。王将位挑戦権をかけて、二人の気力を振り絞っての、一手争いの激戦となった。最後までどちらが勝っているのかまったくわからない攻防戦だったが、指運は村山に微笑んだ。これで村山にマジック1が点灯した。残る中原・高橋戦に村山が2連敗したときのみプレーオフとなる。
- 中原ー森内、中原が攻めを誤り森内初白星!(11月21日)
- 3七銀型相掛かりから中原が強襲を見せると、森内は形を気にしない受けの妙手を放つ。この一手が中原の意表を突き、攻め間違いを誘うことになった。森内はそのあとも大事に指し回し、残留への白星を稼いだ。中原にとっては痛い2敗目となった。
- 藤井対谷川、谷川が14年ぶりの相振飛車で勝ちを決める!(11月1日)
- 藤井四間飛車に谷川がとった作戦は、公式戦2度目の相振飛車だった。中盤で谷川が優位に立つも、藤井の勝負手を見逃し、緊迫した終盤戦に突入。残り時間に追われた藤井が誤り、谷川が挑戦者の座へと一歩抜け出た。
- 村山対森内、千日手指し直しの死闘は村山が制する!(10月31日)
- 村山の四間飛車に森内は居飛穴で対抗し、140手で千日手が成立。持ち時間双方1時間づつで再対局となり、今度は先手を握った村山が5筋位取りの中飛車を見せた。難解な終盤戦、村山に詰めろ逃れの必死の妙手が飛び出し、3連勝と波にのった。
- 中原対藤井、藤井がさばき押し切る!(10月28日)
- 中原の先手棒銀を逆手にとり、研究家の藤井がきれいにさばいてみせた。終盤も手堅く寄せた。
- 谷川対中原、力将棋は中原が制す!(10月25日)
- このところ谷川が好んで指している角換りを誘う順に対し、中原は角筋を止めて応戦。谷川が右四間飛車から仕掛け、中原が厚みを活かして反撃する。まるで飛車落ちのような不思議な感覚の将棋となるが、終わってみれば中原快勝!
- 森内必勝形から高橋に敗れる!(10月25日)
- 先手高橋の3七銀型矢倉に対し、森内は序盤から強い戦いを挑んだ。終盤は森内必勝形となるも、高橋のしぶとい受けに悪手を重ね、思わぬ大逆転となった。
- 藤井が村山の山田定跡に大ポカ!(10月18日)
- 藤井システムに対して村山は、山田定跡で対抗。序盤、すでに定跡化された手順のところで、藤井の錯覚による定跡から外れた悪手が飛び出し、村山が快勝した。
- 冴える光速の寄せ! 谷川が丸山に逆転勝ち!(10月8日)
- 谷川の横歩取りに丸山は3三角型で対抗する。中盤丸山が優勢となるも、谷川は勝負手を連発。最後は光速の寄せを見せ、11連勝と絶好調!
- 四間飛車で一本! 藤井が高橋に快勝(10月4日)
- 高橋は2一玉型銀冠に組むが、藤井が冷静な指し回しを見せ押し切り、1勝をあげた。
- 出た、村山の豪快な寄せ! 丸山を敗る(9月27日)
- 丸山得意の角換り腰掛け銀に、村山は素直に応じ、機先を制して攻め入った。
そのまま一気に丸山陣を撃破し、最後は鮮やかな寄せを披露した。
- 谷川がまず一勝! 森内の居飛穴を粉砕!(9月25日)
- 後手番谷川の四間飛車に、森内は居飛穴に構えるも、9三桂跳ねからの速攻に土俵を割った。
王将位奪還に向けて谷川好発進!
王将戦2次予選
森下 卓八段━━━━━━━━┓
┃
深浦康一五段━━━┓ ┣━日浦━┓
┣━日浦━┛ ┃
日浦市郎六段━━━┛ ┃
┣━高橋=本戦リ−グ入り決定
高橋道雄九段━━━┓ ┃
┣━高橋━┓ ┃
小倉久史五段━━━┛ ┃ ┃
┣━高橋━┛
郷田真隆六段━━━━━━━━┛
米長邦雄九段━━━━━━━━┓
┃
前田祐司七段━━━┓ ┣━中村━┓
┣━中村━┛ ┃
中村 修八段━━━┛ ┃
┣━丸山=本戦リ−グ入り決定
加藤一二三九段━━┓ ┃
┣━阿倍━┓ ┃
阿倍 隆六段━━━┛ ┃ ┃
┣━丸山━┛
丸山忠久六段━━━━━━━━┛
島 朗八段━━━━━━━━┓
┃
藤井 猛六段━━━┓ ┣━藤井━┓
┣━藤井━┛ ┃
福崎文吾八段━━━┛ ┃
┣━藤井=本戦リ−グ入り決定
富岡英作七段━━━┓ ┃
┣━久保━┓ ┃
久保利明五段━━━┛ ┃ ┃
┣━久保━┛
有吉道夫九段━━━━━━━━┛
コメントニュース
- 高橋が本戦リーグに復帰!(9月3日)
- がっぷり四つの相矢倉。98手で高橋が日浦をうっちゃった。
- 藤井が初の本戦リーグ入り!(8月26日)
- 四間飛車一刀流の久保・藤井の対戦は、先手番久保の振飛車に対し、
藤井が居飛車穴熊に構える。128手で藤井が、久保四間飛車を退治した。
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