第67期棋聖戦 |
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棋聖戦5番勝負
1 | 2 | 3 | 4 | 5 | |
羽生善治棋聖 | ● | ○ | ○ | ● | ● |
三浦弘行棋聖 | ○ | ● | ● | ○ | ○ |
若武者三浦武蔵、羽生を圧倒! まず先勝
戦型:相がかり
結果:84手で三浦圧勝!
昨年に続き二度目の棋聖位挑戦となる三浦は、前期では1・2局目で
振飛車を採用するも、今回は相がかりでの出だしとなった。
三浦は8筋での歩交換を留保し、局面は持久戦模様かと思われたが、
羽生の一手のスキをとらえ、猛攻を開始。
局後羽生は、「いきなりやってこられてたまげました」とコメントしている。
羽生が事態の深刻さに気づいたときは時すでに遅く、
淡路流の徹底抗戦をみせるも、三浦が一気に寄せ切った。
羽生にしては珍しくまったくいいところなく敗れた。
持ち時間各5時間のうち、残り時間は羽生40分、三浦12分。
三浦に疑問手! 羽生がタイに戻す
戦型:角換り
結果:88手で羽生圧勝!
公開対局の一番。
羽生の角換り棒銀に、三浦が疑問手を連発。
終始押されたまま、三浦が土俵を割った。
神か人か! 羽生が棋史に残る鮮やかな寄せ!
戦型:矢倉
結果:103手で羽生快勝!
羽生の矢倉棒銀に対し、三浦は4四に左銀を繰りだし応戦。
中盤、駒がぶつかりだしたところ、羽生に3五銀の強手が飛び出す。
局面はすでに羽生有利であり、急ぐ必要の全くない場面での勝負手に
控室も沸き返る。
しかし、そのあとはまさに芸術的だった。
この一手からすでに筋に入っており、もはや変化の余地がない。
一本道で進んだ局面は、50数手後にあまりにもきれいな即詰みが待っていた。
ここまで読み切っていた羽生に対し、とても人間技とは思えないの声がしきりに
ささやかれていた。
三浦茫然自失、しばし立ち尽くす。
将棋の森に詳細記事あり。
両者一分将棋の応酬! ただ捨ての香で三浦、名局を制す!
戦型:角換り
結果:167手で三浦辛勝!
終盤のねじり合い、局面は羽生が三浦玉を挟撃し、羽生の勝ちは
磐石かと思われていた。
ところがここで三浦は、守りのかなめである香をただ捨てる9七香の妙手を放つ。
「まさか取られるとは思わなかった」と羽生の語るこの香捨ては、
プロの感覚では浮かぶことのない一手だった。
羽生が9七同香成りとしたあと、ぽっかり開いた9一に角を打ちすえたのが
好着想。
受かりそうになかった三浦陣が、見事に受かっている。
あとは両者ともに一分将棋の修羅場へ!
間違えない。
攻めるべきは攻め、引くべきときは引き、息絶えだえの死闘は
延々と続く。
執念と執念のぶつかりあいに、一手ごと優越が動く。
午後10時52分、羽生が投了した。
三浦の駒をもつ手はぶるぶるふるえていたという。
ついに羽生、カド番に追い込まれる!
息もつかせぬ激闘の果てに、三浦新棋聖誕生!
戦型:相がかり
結果:105手で三浦粘勝!
三浦が最終局に用意した秘策は、相がかりから2八飛と引き、
銀を3六へ繰り出す攻め重視の手。
序盤はかねてよりの研究が稔り、三浦がわずかにポイントをかせぐ。
三浦は交換した角を5六に打ち据え、一局の命運を託す。
ともに角を打ち合ったまま、開戦に踏み切ることができず、
しばし局面は膠着状態に。
先に戦端を開いたのは羽生。
羽生の攻撃が決まったかと見えたとき、
三浦が6四歩の絶妙のシュリケンを飛ばす。
たったひとつ歩が、羽生の攻め足を見事に止めた。
この一手を境に、三浦が優勢を築く。
しかし、その後三浦がこれといった悪手を指したわけでもないのに、
なぜか形勢が接近。雲行きがあやしくなってきた。
前局に引続き、両者一分将棋に突入。
「羽生マジック」のお膳立ては十分ととのった。
・・・最後の逆転の勝負手を、羽生は見逃す。
終盤で間違えたことのない羽生が、ついに間違えた。
午後10時15分、羽生投了。
「いつかはこういう日が来ると覚悟してはいましたが、
現実になるとやはりつらいですね」
この瞬間、三浦弘行新棋聖誕生!
5カ月間に渡った七冠維持の偉業に終止符が打たれた
将棋界は新たな時代を迎える